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魂がやばい

魂が やばくなるほど すばらしい

ラブリーサマーちゃん「ハタチのラブサマ はじめての飲み会」 愛しい夏の終わりに

18才から音楽活動を始めて以来、抜群のポップセンスと、芳川よしのや宇宙ネコ子とのコラボ、tofubeatsやFOLKSの楽曲への参加など、そのフットワークの軽さで爆進する、鬼才・ラブリーサマーちゃん。

この夏、めでたくハタチになった彼女がワンマンイベント「ハタチのラブサマ はじめての飲み会」を8月31日、渋谷7th FLOORで“幹事”として開催した。「ライブ」ではなく「飲み会」ということで、音楽だけではない彼女の魅力を十二分に楽しめる、様々な企画やサプライズも用意されていた。

彼女のファンに対する真摯な姿勢と、ファンの彼女へ対する愛。「演者とお客さん」という垣根など存在しないような、非常に身近で、沢山の愛に溢れた素敵なイベントだったため、ここに「ライブレポ」という形で記させていただく。

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 エレベーターに乗り、7階に着くと細い通路には人だかりが出来ていた。大勢のファンが順番待ちをしている受付のそばには大きな花が飾ってあり「祝20歳! ラブリーサマーちゃん様 ファン一同」と書かれてある。

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受付を済ませ、薄暗くライトアップされた会場に入ると、机とソファが並べられており、机の上にはお菓子の乗った皿が置いてある。

BGMにはラブリーサマーちゃんが自ら選曲したオススメの音楽。

入り口ではラブリーマザーさん(ラブリーサマーちゃんの実母)がお客様に手渡しで、つくね串ときゅうりの和え物を配っていた。このおつまみは、ラブリーマザーさんとラブリーサマーちゃんで前日に大量に手作りしたものらしい。

 

また、ドリンクカウンターに目をやると、この日は「ラブリーサワーちゃん」という、限定のカクテルが用意されていた。

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これは、ラブサマちゃん側の仕掛けではなく、ライブハウス側の、粋な計らいだったようだ。

 

さらに入り口のすぐ横の壁には、ラブリーサマーちゃんのアートワーク全般を務める、teraoka natsumiの原画展ということで、イラストが大量に飾りつけてあった。

 

空いている椅子に着き、机の上に目をやるとファイルが置いてある。中には、ラブリーサマーちゃんの幼少期の卒業文集や絵。これは一人で来場したお客様が、手持ち無沙汰になってしまわぬように配慮し、開演までの時間を潰せるよう準備したということだった。

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お客様全員が心から「ラブリーサマーちゃん」を楽しめるために何から何まで気を配る、彼女のサービス精神には舌を巻くばかりである。

 

暗く殺伐としており、ライブハウス初心者には少々敷居が高い・・・そんなライブハウスのイメージとは似ても似つかない穏やかな空間に心を許したのか、初対面ながら歓談を楽しむお客様の姿も、チラホラと見られ始めた。

そんな中、客席の後ろから颯爽と現れたラブリーサマーちゃんが壇上へ駆け上がり、注目を集める。

壇上に登ったラブサマちゃんから、今回のイベントはただのライブではないということで、軽くイベントの趣旨やタイムテーブルの説明が入る。

それから「飲み会とかしたことないので・・・」と軽く照れながら、「ラブリーサマーちゃんのハタチと、皆様に幸福の念を込めて、乾杯!」で、イベントスタート。

 

ここでまた驚かされるのが、彼女はあくまで“幹事”ということで、その日来場したお客様の元へ赴き、一人一人ときちんと乾杯を交わし、名前を伺い、ツーショットチェキを撮って回っていた。しかも一人一人と長く話し込みすぎて、イベントの進行に支障が生じたため、イベント終了後に乾杯できなかった方々を集め、また一人一人とチェキを撮り、挨拶を行っていた。

お客様もその真摯な対応に満足そうな面持ちで、なによりラブサマちゃん自身が最もお客様との交流を楽しんでいることが見て取れた。

 

乾杯の後は、ぬるりとビンゴ大会にうつった。

ラブサマちゃんがくじを引き、ビンゴとなったお客様は壇上に上げられる。ラブサマちゃんが「おこづかいを切り崩して買ってきた」という景品を直接プレゼント。

ラブサマちゃんは年上のお客様にもくだけた口調を絶やさず、またその距離感をファンの方々も楽しみ、終始アットホームな空気が流れていた。

 

「ここまでグダグダでしたが、ライブは頑張りたいです」

赤いテレキャスターを抱え、音色を確かめるように何度かギターを鳴らすと、ついにライブがスタート。

先ほどまでのニコニコとした表情とは一転し、正面をキッとにらみつけ、真剣な表情で演奏を始めたのは「宇宙ネコ子とラブリーサマーちゃん」名義で発表した「日々のあわ」。


宇宙ネコ子とラブリーサマーちゃん「日々のあわ」MUSIC VIDEO - YouTube

 

元々はバンドサウンドのこの楽曲だが、弾き語りされることによって、その歌詞の切なさ、メロディの美しさがすっと胸に沁みこんでくるようだった。

演奏が終わると、再び演奏中の真剣な表情とは一転し、満面の笑みで「よしっ!」と、可愛らしく手をグッとするラブリーサマーちゃん。その屈託のなさも彼女の魅力の一つだろう。

 

「今のは「日々のあわ」という曲で、宇宙ネコ子さんというバンドと作りました。レコーディングとかしたりしてね・・・」と曲についての思い出を少し語った後は、「無題7」を演奏、さらに続いて七尾旅人のカバーで「八月」を演奏した。

宅録少女」として活動してきたラブリーサマーちゃんだが、この日は基本的に全てエレキギターによる弾き語りだった。キラキラとした美しいギターの音色と、彼女の優しい歌声が折り重なるように拡がり、穏やかな空間を包み込んでいく。

 

演奏を終え、ここで9月9日に発売するシングル『ベッドルームの夢e.p』についてのMC。

ベッドルームの夢 e.p.

ベッドルームの夢 e.p.

 

 「予約してくれたひと!えっ、結構少ない・・・うぜえー!・・・うざくない・・・」などと笑いを取りつつ、「七尾旅人さんばっかで大好きかよって感じなんですけど・・・」と前置きして、シングルにも収録される七尾旅人「サーカスナイト」のカバーを演奏。再びMCのあっけらかんとした雰囲気を一転させるのだが、先ほどの真剣な面持ちとはまた少し違い、今度は柔らかい表情で目をつむりながら、歌いだす。その瞬間、会場の空気は凛とし、彼女の歌に耳を澄ませる者たちで一つになる。

ここで私は、彼女の大きな魅力の一つである「素直さ」が、彼女の音楽にも活かされていることに気付いた。その素直さで彼女は、すんなりと楽曲の世界観に自分を沈み込ませることが出来るのだろう。

これまで数々のアーティストのカバー曲をインターネットに投稿してきた彼女だが、そのどれもが、まるで自分のモノのように完成されている。その要因のひとつもまた、この「素直さ」だろう。

 

サーカスナイトの演奏を終えると、次はサビの「さん、さん、さん・・・」というフレーズが印象的な、短いが爽やかなポップソングを笑顔で演奏。これは「太陽と雨」という曲で、どこでもまだ発表していない曲らしい。

ラブリーサマーちゃんのアートワークを担当し、ライブ当日も「寺岡さんカフェ」と題し、お客様のためにパンケーキアートを施したパンケーキを焼いていたteraoka natsumiのために、プレゼントをあげようと思い、この日のために作ってきたそうだ。

歌詞の頭文字をつなげると「てらおかさんだいすき」になるらしい。

お客様だけでなく、自分と活動を共にする人への感謝も忘れない、ラブサマちゃんらしいサプライズに、客席から大きな拍手が起こった。

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teraoka natsumiによるパンケーキアート

 

「単独で3500円も取っていいのかとかも考えてたんですが、立ってる人もいらっしゃって、ほんとにすみません・・・。来年もやれるように頑張りますので、よろしくお願いします!」

と、またお客様のことを気遣ってばかりの彼女が次に演奏を始めたのは、初期の代表曲「あなたは煙草 私はシャボン」。長く愛されてきた楽曲の演奏に、心なしか客席も浮き足立つ。


あなたは煙草 私はシャボン /ラブリーサマーちゃん - YouTube

 

そして「この曲でしめさせてもらいます」と言い放ち、最後に演奏したのは、PVが公開されたばかりの新曲「ベッドルームの夢」。


ラブリーサマーちゃん「ベッドルームの夢」Music Video - YouTube

 

「ベッドルームで一人口ずさむメロディ あの子にも聴こえたらいいな」・・・インターネットを中心に活動してきた彼女の初めての、CDという形になって全国へ届けられる楽曲。その切実なメロディと歌詞が、ギターと歌声だけのシンプルさによって際立ち、私たちの心へと届けられる。

丁寧に弾き語り終えた彼女は、またライブ中とはうってかわった屈託のない表情で、ウキウキと舞台袖へ去っていく。

 

アンコールでは、実は私たちからラブリーサマーちゃんへのサプライズがあった。当日入場した際に、お客様には小さな紙きれが渡されており、そこにはスタッフからの、ラブサマちゃんへのサプライズの詳細が記されていた。

リハーサル通りに音楽がかからないことで、不安になってステージのはしから顔を覗かせたラブサマちゃん。しかし突然の客席からの「ハッピーバースデー」の大合唱と、用意されたバースデーケーキに驚いて、再び隠れてしまった。

アーティストがファンのために用意した沢山の仕掛けに対して、ファン側もお返しをするという構図はとても感動的だった。

 

「私なりのサプライズもあったんですけど・・・やりづらくなっちゃった」と、少し涙ぐみながら話すラブサマちゃんが、アンコール一発目におくった楽曲は「はじめての飲み会ありがとう」。

これはイベントの最初に、ラブサマちゃんが一人一人と乾杯に回った際に、伺った名前を読み上げながら歌われる、このイベント限定の即興曲だ。

後日、全員に音源もプレゼントされた。

 

そしてここで、ラブリーサマーちゃん初めてのバンドセットでのワンマンライブが1月11日に、渋谷O-nestにて開催されることが発表となった。

ずっと一人で全ての楽器を宅録してきたラブサマちゃんの楽曲が、ついにバンド形式のまま生で聴けるということで、客席ももちろん湧き上がったが、ラブサマちゃん自身もとても嬉しそうだった。

 

「何か言い忘れたことないかな?言うことは・・・ありがとうございますだなあ」と、最後までお客様への感謝を忘れない彼女の、本当に最後の演奏曲は、ライブの物販CDでおなじみの「ルミネセンス」の、ピアノ弾き語りだ。

「夏も終わるぜみたいな曲」と本人が評するこの曲の綺麗なメロディが、ピアノの音色と交わり、夏の夜に溶けていく。楽しかったイベントも終わりが近づき、このイベントを、ひいては、夏の追憶までも想い起こさせるような、静謐な時間が流れる。

 

しかしあくまでお客様を楽しませることに力を注ぐラブサマちゃんは、しんみりとした空気のままでイベントを終わらせない。最後は壇上にあげたラブリーマザーさんによる、クロージングDJだ。

ここで使用された楽曲はまだ未発表の「わたしのすきなもの」という曲らしく、ラブサマちゃんが好きなものをラップ調で次々とあげていくという、楽しい楽曲だ。

未発表の楽曲を聴けるということと、ラブリーサマーちゃんのお母様によるDJという貴重なものを目の当たりにした嬉しさで、再び客席は湧き上がる。

満面の笑みのラブリーサマーちゃんとそのお母様、そしてお客様たち全員が、垣根なく楽しみながら、イベントは幕を下ろした。

 

このイベントの本当に素晴らしかったところは、イベント全編を通して「愛」に溢れていたということだ。

ファンのラブリーサマーちゃんに対する愛はもちろんだが、ラブサマちゃんの音楽に対する愛、ファンに対する愛、スタッフに対する愛、家族に対する愛・・・様々な愛に満ち満ちていた。

ビジネスである以上、どんなイベントにも「お金」が発生する。

ライブである以上、「演者とお客さん」という垣根は存在する。

しかしその前提があってなお、アーティストが、お客様が見えないもので繋がり、お互いが楽しむことができる、「エンターテイメント」とはこういうものだったよなということを思い出させてくれるようなイベントだった。

 

8月31日。暦の上では夏の最後の日に、どこよりも優しく愛おしい夏の終わりがあった。

 

 

●セットリスト

1日々のあわ

2無題7

3八月(七尾旅人カバー)

〜MC〜

4サーカスナイト(七尾旅人カバー)

5太陽と雨

〜MC〜

6あなたは煙草 わたしはシャボン

7ベッドルームの夢

(アンコール)

〜ハッピーバースデーサプライズ

8はじめての飲み会ありがとうの歌

9ルミネセンス(ピアノ)

10わたしのすきなもの(ラブリーマザーさんクローズジングDJ)

 

 

 

 

 

この記事は地下室TIMESのこの記事に引用されています

http://basement-times.com/lovelysummer/