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魂がやばい

魂が やばくなるほど すばらしい

メジャーデビュー後1発目、ラブリーサマーちゃんはロックをしに来ていた

 

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ラブリーサマーちゃんのメジャーデビュー後はじめてのワンマンライブに行ってきたので感想を書きます。

 

まず、これまでのワンマンとは明らかに雰囲気が違っていた。

これまでのワンマンは、お客さんへの気遣いやサービスが入念に準備され、とにかく居心地の良い空間・イベントであることに終始していた印象があった。

ラブリーサマーちゃん「ハタチのラブサマ はじめての飲み会」 愛しい夏の終わりに - 魂がやばい

 

対して今回は、これまでの手作り感溢れるイベントとは違い、いかにもライブハウスらしい無骨な空間が、スシ詰めの満員だった。椅子など休めるスペースも特になく、決して居心地がいい空間とは呼べなかったように思う。

でも、そこを満たすお客さんのほとんどが、前面に堂々と鎮座するステージに意識を集中し、今か今かと開演を待ち、期待に浮き足立っていた。ライブ前独特の、あの異様な熱気が、十二分にホールを包んでいた。

何かがいつもと違う。その熱気が、また否応にも期待を高めた。

 

そしてその感覚が間違っていなかったことは、ライブ開演後、すぐに思い知らされることになる。

 

ギターの音が硬かった。

一音目の印象だ。直感した。ああ、ロックをしに来ている。今回ラブサマは、本気でバンドを、音楽をしに来ている。

代表曲「あなたは煙草 わたしはシャボン」から始まり、「PART-TIME ROBOT」「青い瞬きの途中で」と怒涛の勢いで続いていく。

個人的にはあまり好きな曲ではなかった「PART-TIME ROBOT」が、今回はいちばん痺れた。キメがバシッと決まるたびに、ウオーッ、となる。音源でもそのビジョンは見えていたものの「ああ、ライブで、この感じで、これがやりたかったんだな」と改めて痛感させられた。

 

バンドスタイルでのライブを観るのは今回で2回目だ。前回観た時は、バンド形式での初めてのライブということもあってか、まだ「サポート」然としていた部分もいくらか感じられた。しかし今回はバンドとしてのグルーヴがしっかりと出ており、サポートバンドの域は完全に脱していた。演奏が進むにつれバンド全体のテンションが上がっていくのがわかったし、「青い瞬きの途中で」終盤のギターソロで、ハシダさんが暴れ弾く姿に、拳を握るなどした。

 

続く「202」でも、それは顕著に表れていた。あの曲、ぼくコピーバンドした事あるんでよくわかるんですけど、普通にやると展開少ないし長いし、結構ダレるんですよね。

多分だけど、原曲よりBPM高め?だったかな。そんでもってワウを取り入れたツインギターとリズム隊のタイトなビートに、ラブサマのボーカルが乗っていく。

さらに言うと、この曲ではバンドの演奏だけじゃなく、ラブサマ自身の成長を、ぼくは明確に感じた。インフルエンザ明けということもあってか、本人もライブ後に言っていたように、全編通して声が出切っていないような印象は、確かにあった。しかしこの曲で4曲目、徐々に緊張がほぐれてきたのか、このあたりから歌の硬さが取れ、その表現力が露わとなってきた。

ラブサマの歌は、その声の美しさと柔らかさ、ひとつひとつ音を置いていくような丁寧さが魅力だったと思う。その代わり、激しい感情を表現するような、ある種の「エモさ」みたいな部分については、少し物足りない印象が、個人的にはあった。

しかし今回、この曲のちょっぴり大人の切なさみたいなものを、ラブサマの歌はしっかり表現していた。その後の曲も勿論、これまでのライブと比べて余裕を感じた。新曲の「仲直り」は、感動して思わず目を閉じて、聴き入ってしまった。

 

ぼくがこれまでラブサマの音楽や活動を語る時、「拙さ」や「手作り感」について触れてきた。

みんな昔は持っていた 音楽愛、手作りの輝き ラブリーサマーちゃん - BASEMENT-TIMES

 

音楽は上手さが全てではない。上手さはあくまで表現を伝えるツールであり、目的はあくまでその先にある感動だ。時には、拙さだって武器になる。

正直に言って、ラブサマは決して歌や演奏が上手い方ではないと思う。ただ前述の通り、その丁寧さから、彼女の音楽に対する真摯さや愛が熱を帯び、ジンワリと伝わってくるところが強い魅力だった。そしてたまに見える拙いところさえもまた、その魅力を後押しする武器となっていたと思う。

しかし、当たり前だけど彼女も成長していく。新しい音源を出すたび、ひとつライブを終えるたび、楽曲のクオリティも演奏力も上がっていく。これは完全に個人的な想像だけど、彼女のひたむきに努力する姿を見ていると、頑張ろうと思うんじゃないかなと思う。音楽が好きな人だったら、応援したくなると思う。そのことが、前述したサポートバンドの完成度の向上にも、ちょっとは影響しているのではないかな〜と思った。 

 

そして今回のライブで、絶対に触れておかなければならないのは「天国はまだ遠い」だろう。

この曲は歌うパートが比較的少ない。ラブサマの持ち味である美しい歌声、キャッチーなメロディセンスをあえて活かさずに、轟音のギターサウンドが重なっていくポスト・ロックサウンドだ。音源では綺麗めな印象で物足りなく感じたが、ライブではその音圧は十二分。ポップソングメイカーとしてのラブサマちゃんをかなぐり捨て、音圧のみで客を殺しにかかっていた。

この曲が、ラブサマの変化を今回、最も決定的に象徴していた。

 

世の最先端のボーイズ&ガールズも、ラブリーサマーちゃんの音楽を、まだまだ「ラブサマちゃん可愛い〜♡」みたいな扱いをしているように思う。でも実際は、本人も明言しているように、くるりGRAPEVINEに影響を受けた、バックボーンのしっかりとした音楽をやっている。

今回のライブが終わった後、うわ〜バンドやりたいな〜って思った。そう思わせるバンドって、きっと良いバンドだし、そういうのがきっとロックってやつだ。

どんどん進化していくラブリーサマーちゃん。その成長していく姿・過程を見ていられることで、お客さんに夢を見せられる人も、圧倒的なカリスマとは違う、またひとつのロックスターなんだなと思った。

彼女に「宅録」「インターネット発」という肩書きは、多分もう要らない。

ポップなアイコン「ラブリーサマーちゃん」を脱却した、ミュージシャン・今泉愛夏としての飛躍、その第一歩を思わせる素晴らしいライブだった。